4歳〜

おかねって、なぁに? -おかねのはじまり-

お金ってなぁに?と子どもに聞かれてきちんと答えることができますか?
お金の〈はじまり〉から、今のお金になるまでをたどっていくと、お金の必要性、お金の意味が少しずつわかってくると思います。4歳〜大人まで、お金のこと絵と図を使いながら、伝えていきます。

おかねって、なぁに?

(…なんて説明したらいいかな)
モノやサービスと〈交換〉できる道具だよ

どうして交換できるの?

みんなでお金を〈価値〉あるものということに決めたからだよ。
その約束の中では、お金というものが〈信用〉されているから
交換できたりするんだよ。

ふーん。
じゃあ、どうやって〈お金の約束〉を決めたの???

(…なんて説明しようかな)
〈おかねのはじまり〉から、〈今のおかねになるまで〉をお話しするね。

お金の説明って、何から話しをしていけばいいか…難しいですよね。
特にお子さんに急に「おかねって、なぁに?」なんて聞かれたら、お金の持つ道具としての機能の、どの部分から説明しようか…と途方に暮れてしまいますね。
まずは、お金のなかった頃からお金という存在が〈なぜ生まれたのか?〉を説明すると少し理解ができてくるかもしれません。

おかねのはじまり。おかねのない時代はどうしていたの?

昔はおかねというものがなかった。だから、例えば自分の持っていないものが欲しい時には、〈モノとモノを交換〉して手に入れていた。お互いに欲しいもの同士を交換するシンプルな方法でやり取りしていた。

だけど、だんだんといろいろな交換するものが増えくると…
●交換するものの中には〈保存ができないもの〉〈なかなか手に入らないもの〉〈みんなが欲しがるもの〉それぞれに違った特徴がある
●魚が欲しくても、〈魚を持っている人が欲しいもの〉を自分が持っていない場合、それを手に入れたりしなくてはならないよね
こういったことで…交換の方法が複雑になってきてしまったんだ。

そうなると〈保存ができて〉〈みんなが欲しがるもの〉に交換しておくことが重要になってくる。
それが、日本では『米=稲(イネ)』だった。
現在の値段の〈値(ネ)〉の語源になったとも言われているよ。
そして、もう一つが『布』だった。腐ることも無く、布で着物や道具を作ることもできたからみんなが欲しがったんだ。
ちなみに、〈お札=紙幣〉の〈幣(ヘイ)〉という文字は『布』という意味なんだって。

これはもちろん日本の話。他の国々でもそれぞれの〈みんなの欲しがるもの〉があった。

日本 米=稲・布(稲は『値』の語源。布は貨幣の『幣』)
中国 子安貝(キレイでみんなが欲しがった)
古代ローマ 塩(当時『塩』は貴重品だった。ラテン語で塩は『サラリウム』というのでそこから英語の『サラリー』が生まれた。)



〈モノとモノをそのまま交換すること〉から発展して〈モノをある特定のモノに交換しておいて、それをさらに交換する〉という方法に変わっていったんだ。

そうしてだんだんと〈交換する方法〉が発展してきて、
〈そのへんに転がっていなくて〉〈なかなか手に入らなくて〉という貴重なものとして『金・銀・銅』の存在が登場したことでさらにレベルアップしていくんだよ。

金・銀・銅はなかなか手に入らない上に、古代の未熟な技術でもなんとか加工できる〈いい素材〉だった。

金・銀・銅を溶かして固めて…という加工することで、本物と偽物を区別するための印をつけたり、穴を開けて紐を通せるようにして持ち運びできるようにしたりして当時は使っていた。
これが通貨のはじまり、だね。


日本でも、金貨や銀貨が作られて使われるようになっていったんだよ。
諸説はあるけれど、708年頃に流通していた『和同開珎(わどうかいちん)』が日本最古の貨幣とされていて、その後、鎌倉・室町時代には中国から輸入した『宋銭(そうせん)』や『明銭(みんせん)』などを使っていたそうだよ。

やがて豊臣秀吉が『天正長大判』という世界最大の金貨を作ったり(流通用というよりも恩賜や贈答用)して日本独自の通貨も作られるようになるんだよ。
関ヶ原の戦いで天下を統一した徳川家康が1601年に『慶長金貨・銀貨』を発行したことから始まり、1636年に徳川家光が『寛永通宝(かんえいつうほう)』という銭貨を作り、〈それぞれの交換レートを統一〉したり、輸入銭を禁止したりと、江戸幕府が独自で貨幣を支配する仕組みができました。

とっても便利で仕組みもできてきた通貨だけど、
金・銀・銅にも欠点があった。それは…とっても重いこと。
たくさんの通貨を持っている人は、持ち運ぶこともできないし、何か高価なモノと交換しに行こうと思った道の途中で、ジャラジャラと金貨や銀貨をぶら下げていたらそれを狙って盗む人が出てくるかもしれない。

そういった欠点を克服するために生まれたのが
金・銀・銅を預かりましたという証明をしてくれる預かり証なんだ。
はじめはお金持ちが「確かに預かりました」という証明をしてくれる預かり証でそれをお金持ちのところへ持っていけばいつでも金と交換してくれる。その預かり証を発行しているお金持ちが信用されていたのでできたことだね。



日本の紙幣の歴史は、1600年頃に伊勢山田地方の商人のお金持ちが信用に基づいた『山田羽書(やまだはがき)』というものが発行されたのか最初のお札とされているようだよ。
1661年に越前福井藩が発行した『藩札』を皮切りに、各藩主が有力商人の協力を得て、領土内で使える独自の紙幣が発行され、その後に、幕府が金貨・銀貨に対応した『金札』・『銀札』を発行して、金貨・銀貨・銭貨・紙幣が整っていったんだね。

やがて預かり証だった紙幣や硬貨をそのまま使うようになり、今のお金へ。

預かり証だったものを金に換えてモノと交換する、という方法ももちろんできるけれど、もっと便利に…と考えたら、その預かり証自体をモノと交換すればいいわけです。
その預かり証は信用がありますから、モノと交換してあげた方の人がまとめて後で金と交換しればいいわけですし、だんだんと、預かり証そのものが価値を持つようになっていったのです。

なが〜い時間をかけて、今のお金になっていったんだよ

モノをあげるひとも、モノをもらうひとも
〈お金の約束〉をまもっているから、2人ともいいきもちでモノの交換ができるんだね

 

そうだよ〈約束〉と〈信用〉があるから、お互いきもちよく交換ができているんだよ